平野公認会計士・税理士事務所(大阪)

中小企業技術基盤強化税制(試験研究費の特別控除)

税理士ブログ

最も節税効果が高い手法は、特別控除の適用です。
収入や経費と関係ない所で税金を直接減額させることができるからです。
試験研究費の特別控除は、製造業などのように経常的に研究活動を行っている法人に適用しやすい制度となっています。
また、試験研究費の特別控除の中でも中小企業技術基盤強化税制は中小企業者等にのみ適用される比較的簡単な節税対策と言えます。

制度の概要

中小企業者等(中小企業者又は農業協同組合等)で、青色申告書を提出する者は、各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合には、当該事業年度の所得に対する調整前法人税額から、当該事業年度の当該試験研究費の額の百分の十二に相当する金額(中小企業者等税額控除限度額)を控除することができます(租税特別措置法42条の4 2項)。
ただし、中小企業者等税額控除限度額が、当該中小企業者等の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額の百分の二十五に相当する金額を超えるときは、その控除を受ける金額は、当該百分の二十五に相当する金額を限度とする。

中小企業者等税額控除限度額=試験研究費の額×12%
税額控除上限額=調整前法人税額×25%

(注)中小企業者とは、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(大規模法人に支配されている法人等一定の法人を除く)及び資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

適用除外

この制度は、次に掲げる事業年度は適用できないこととなっています。
①試験研究の総額に係る税額控除制度の適用を受ける事業年度(租税特別措置法42条の4 1項)
②解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度
③清算中の各事業年度

試験研究費の額

試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する費用で下記のものをいいます(租税特別措置法42条の4 6項1号)。
ただし、試験研究費の額に充てるために他のものから支払いを受ける金額がある場合は、試験研究費の額から控除されます。
①その試験研究を行うために要する原材料費、人件費(専門的知識をもつて当該試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限る。)及び経費
②他の者に委託して試験研究を行う法人の当該試験研究のために当該委託を受けた者に対して支払う費用
③技術研究組合法第九条第一項 の規定により賦課される費用

適用要件

この制度の適用を受けるためには、対象となる試験研究費の額及び控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その計算明細書を添付する必要があります。

平成29年度税制改正の影響

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年(設立事業年度を除く)において、増減試験研究費割合が5%を超える場合には、次のとおりとすることとされました。
中小企業者等税額控除限度額=試験研究費の額×{12%+(増減試験研究費割合-5%)×0.3}(注)
税額控除上限額=調整前法人税額×35%
(注)税額控除割合は、17%を上限とします。

また、税額控除上限額は、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に開始する各事業年において、試験研究費割合が10%を超える場合には、次のとおりとされます。
税額控除上限額=調整前法人税額×25%+調整前法人税額×{(試験研究費割合-10%)×2}(注)
(注)税額控除上限の加算割合は、10%を上限とします。

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