医科/歯科診療所の開業支援
日本の総人口に占める65歳以上の人口の割合が平成27年時点で26.7%にもなっており、日本が超高齢社会になったことから、医療、介護サービスに対する注目度は日々高まっています。また、国家予算の社会保障関係費予算額においても、医療、介護関連費は毎年増加傾向にあることからも、重点的に評価されていることが伺えます。
しかし、歯科診療所(クリニック)経営の現状について言えば、①歯科医師数の増加、②歯科患者数の減少、③歯科医療費の伸び悩みといった要因からマクロ的には歯科診療所経営は悪化しているものと思われます。このような状況は今後も継続すると予想されることから、歯科診療所の経営は一層困難になると予想されるます。
すなわち、歯科診療所においても過当競争が進み、医療市場に受け入れられない歯科診療所は廃業に追い込まれることになり、医療市場に受け入れられる歯科診療所だけが存続することになります。
また、医科診療所についても同様のことが起きています。
そこで、お客様が診療所を立ち上げようとする場合、開業前に関係法規や開業手続を正確に理解する必要がありますが、関係法規の遵守と適切な開業手続の実施については他者のサポートを受けることが望まれます。先生方は、開業後の事業運営に焦点をあて開業後の診療所経営に注力する必要があるためです。開業段階から良好な診療所経営を心掛けることにより早期に診療所の財務基盤づくりをすることが可能となります。しかし、スタートダッシュが順調に行えず、良好な診療所経営を行えないのであれば無駄な経費負担を負うばかりか、その医院は地域住民の信頼をも失ってしまう結果となります。
したがって、地域密着の許認可事業であることの自覚を持ち、常に法規の順守と適切な手続の実施を心掛け、早期に診療所経営に注力する必要があります。
また、診療所であっても基本的には他の一般事業者と同様に、税法等の法規が適用されますので、日々の記帳と所得計算を行って納税する必要がありますが、この税務署関係の手続も抜かりなく実施する必要があります。特に、診療所経営者は所得が高額になり所得税率等が高くなることが多く、開業初期段階より節税対策を組み込んでおく必要があります。
診療所開設の届出と指定申請
医科、歯科診療所は、許認可事業ですので、管轄の保健所への届出並びに厚生局への保険医療機関の指定申請が必要になります。
なお、個人診療所の場合は保健所へ開設を届出るのみですが、法人診療所の場合は保健所より指定を受ける必要があります。
保健所への届出には様々な添付書類が必要となりますが、開設後10日以内に診療所開設届出書を診療所所在地の管轄の保健所に提出します。
ただし、設備や診療内容に応じて届出ることになるので、開設届を提出前に事前に保健所に相談することが望まれます。
保健所への届出が済んだら、診療所で保険診療を行うために、保険医療機関の指定申請を管轄の厚生局に行います。実務的には、保健所への診療所開設届の作成と同時に保険医療機関指定申請書も作成し、開設届提出前に厚生局の担当官に申請書類の事前チェックを受けておくことをお勧めします。
医療法人の設立
法人により診療所経営される場合、経営主体として医療法人を設立する必要があります。
医療法人設立の手続きは下記のとおり複雑で、都道府県知事の認可が必要となっております。これらの手続きは長期間に渡り実施されますので、専門家に相談するか、専門家に設立を依頼する場合がほとんどとなっています。
- 申請時期の確認
- 定款の作成
- 設立総会の開催
- 設立認可申請書及び添付書類の準備
- 設立の仮申請
- 設立認可申請書の審査
- 設立の本申請
- 医療審議会への諮問
- 設立認可書の受領
- 設立登記
開業手続のリストアップ
診療所開設のための手続を確認したら、実際に、設備・物件の確保、事業資金の調達、また人員の確保等の作業を実施することになります。診療所の開業手続は、開業後の事業基盤を形成するものですので、漏れなく実施するために実施すべき事項を事前にリストアップしておくことが必要です。
各種手続 | 手続の具体的内容 |
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設備・物件の確保 | 建築物件の検討 設計事務所との打ち合わせ 建築基準法との照合 医療機器、診療材料等設備の確保 レセプトコンピュータの導入 |
事業資金の調達 | 開業前設備資金の確認 開業後の運転資金の予算編成、事業計画&資金繰表の作成 金融機関への借入申請、業界ローンの活用 |
行政機関への申請 | 保健所への診療所開設届の提出 保健所への診療用エックス線装置備付届の提出 厚生局への保険医療機関指定の申請 厚生局への基本診療料、特掲診療料の施設基準に係る届出書の提出 税務署等への届出書類の提出 社会保険関係の手続 助成金の交付申請手続 |
人員の確保 | 採用計画の作成 人材の募集 従業員スタッフの教育、訓練 |
患者確保のための営業 | 地域住民へのあいさつと内覧会の開催 看板広告の設置依頼 ホームページの作成と公開 チラシ、パンフレットの作成と配布 |
また、上記の手続は同時並行して行うものが多数あるため開業手続をスケジューリングしておく必要があります。
開業後の業務内容
開業までの手続は上記の通りですが、開業後においても多数の問題があります。
例えば、経理処理・税務申告の問題、従業員管理の問題、患者確保の問題、資金繰りの問題等多数の失敗事例があります。
これらの問題を具体的に把握し、タイムリーに適切な対応ができるかどうかが事業継続のカギとなります。
平野公認会計士・税理士事務所では、開業後においても事業が早期に黒字化し、スムーズに事業運営できるよう事業者の皆様を継続的にサポート致します。
提携している歯科診療所の開業支援コンサルティング会社と一体となって、開業手続から経理処理業務、確定申告業務等をワンストップで請負い、お客様を支援しています。
- 経理処理業務の支援
- 診療所における窓口業務の助言
- 診療報酬、自己負担金の管理方法の助言
- 事業計画書、月次資金繰表の作成
- 業界情報の提供と他の診療所との比較
- 現状分析の実施と経営改善計画の作成
- 営業戦略の策定と実施経過の確認
- 資金繰り改善方法の提案と追加資金の調達支援
- 節税対策の助言
- 決算書、確定申告書の作成
また、医療/介護業界では診療所のM&Aが頻繁に実行されていますが、弊事務所の情報網と知識と経験を活かしサポートしています。