未払い残業代の性質

判決により残業代請求が認容され、残業代の額の認定がなされた場合は、それによる支払いは労務の対価であって給与所得に該当する。
しかし、和解により解決した場合は、名目が和解金、紛争解決金であっても支払いの性質は労働の対価であるかどうかが不明であるため、実質により判断することになる。
和解により支払われることとなった支払金額は、紛争の原因や和解に至るまでの経緯から客観的な証拠関係や和解金額の多寡などに照らして、いずれの性質とみるが合理的であるかを客観的に判断して、その性質に沿って税務処理することとなる。

和解により支払われる解決金

1.残業代等

残業代の発生そのものには争いがなく、その額のみが争点となり、請求の一部を認める内容で和解がなされた場合、支払われる金銭の性質は労働の対価であり、給与である。そのため給与として支給され、受け取り側は給与所得となる。

2.それ以外の解決金

労働時間認定、管理監督者性等から残業代支払い自体が争われた場合や、他の労働問題の損害賠償請求が併存し、請求の一部を認める内容で和解された場合、支払われる金銭の性質は労働の対価とそうでない部分があるため、給与、退職金や損害賠償金として支給され、受け取り側は給与所得、退職所得や一時所得となる。
退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与を退職手当等といい、退職手当等は退職所得となる(所得税法30条、所得税法基本通達30-1)。
また、損害賠償金であっても、パワハラにより心身に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金については、所得税は非課税となる(所得税法9①18、所得税法施行令30①3)。

3.まとめ

労務の対価たる性質を有する場合 給与所得
労務の対価たる性質を有し、退職したことに起因 退職所得
心身に加えられた損害に係る損害賠償金 非課税
上記以外の損害賠償金 一時所得

所得の期間帰属

1.労務の対価たる性質を有する場合

和解が確定した場合は、雇用契約等により支給日が定められている給与等(次の(2)に掲げるものを除く。)についてはその支給すべきであった日、その支給日が定められていないものについては実際に支給を受けた日が所得の帰属時期となるとなる(基本通達36-9、タックスアンサーNo.2509)
通常は、請求金額が争いの過程である程度の和解金額等として決着するのであり、期間帰属が不明なことが多いため、和解が確定した時点の所得として権利者に帰属し、支払義務者としては源泉徴収税額の計算方法に当たっては、実質的には支給期の定めのない給与に該当するとして賞与に準じた計算をすることになる(所基通183-1の2ハ)。
退職したことに基因して一時に支払われることとなった退職手当等については、退職した日が所得の帰属時期となる(所得税法基本通達36-10)。

2.労務の対価たる性質を有しない場合

上記以外の和解金等は、支払い日の属する年度の所得に帰属することとなる。

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