人格のない社団等の意義
人格のない社団等とは、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいいます(法人税法2条①8)。
例えば、PTA、町内会、研究会、同窓会、同業者団体、マンションの管理組合などが人格のない社団等に該当し、税法上は法人とみなされ、一定の場合に法人税が課税されます(法人税法3条)。
これは一般事業者との課税の公平を期するために、一般事業者と同様の活動をする場合には、人格のない社団等にも法人税等の課税が行われています。
人格のない社団等の範囲(法人税法基本通達1-1-1~1-1-3)
法人でない社団
法人でない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいいます。
組合契約や匿名契約は除かれます。
法人でない財団
法人でない財団とは、一定の目的を達成するために出えんされた財産の集合体で特定の個人又は法人の所有に属さないで、一定の組織による統一された意志の下にその出えん者の意図を実現すべく独立して活動を行うもののうち法人格のないものをいいます。
代表者又は管理人の定め
法人でない社団又は財団について代表者又は管理人の定めがあるとは、社団又は財団の定款、寄附行為、規約等によって代表者又は管理人が定められている場合のほか、社団又は財団の業務に係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理する等の業務を主宰する者が事実上あることをいうものとされています。したがって、法人でない社団又は財団で収益事業を行うものには、代表者又は管理人の定めがあるものとみなされます。
法人税の申告義務の発生
人格のない社団等については、収益事業を行う場合に、法人税を納める義務が生じます(法人税法4条)。
収益事業を行う場合とは、下記のような場合が該当します(法人税法基本通達15-1-1~15-1-5)。
①令第5条第1項各号収益事業の範囲に掲げる事業のいずれかを行う場合
②業務の全部又は一部を委託契約に基づいて他の者に行わせている場合
③常時店舗、事務所等事業活動の拠点となる一定の事業場を設けている場合
④継続して事業活動を行う場合
注意事項
例えば、下記の場合が申告義務ありと判断されることがあります。
特に、収入が1,000万円を超える等高額の場合は、消費税の納税義務ありと判断され、法人税の納税義務もありと判断されることがあります。
①団体の構成員が毎年同一で、特定の管理者や事務局が設置されている。
②収益事業から所得が出ており、繰越金が発生している。
③収益事業に第〇回などと附番されており、継続的に収益事業をしているという外観が備わっている。
消費税等の申告義務
人格のない社団等も法人とみなされていますので(消費税法2条4、7号、3条)、課税資産の譲渡等を行う場合で一定の場合には納税義務者となります(消費税法4条)。
収益事業者に該当する場合は、事業として対価を得て行う国内の資産の譲渡や貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負うことになってしまいます(消費税法4条①)。
ただし、基準期間の課税売上高等が1,000万円未満の場合は、小規模事業者に係る納税義務が免除の規定が適用され、消費税の申告納税が不要となります。
住民税等の申告義務
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあり、かつ、収益事業を行うもの(人格のない社団等)は、法人とみなして、法人同様に地方税法の規定を適用され、地方税の課税が行われます(地方税法24条⑥)。
道府県民税は地方税法24条⑥で、事業税は地方税法72条の2④で、市町村民税は地方税法294条⑧で、それぞれの税目が課税される旨規定されています。
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