概要

個人の行う事業に対して課税する事業税は、第一種事業、第二種事業、第三種事業に対し、所得税法の所得を課税標準として課税され、事務所等所在の道府県においてその個人に課される(地方税法72条の2③)。

課税事業は下記のとおりである。

第一種事業

一 物品販売業(動植物その他通常物品といわないものの販売業を含む。)
一の二 保険業
二 金銭貸付業
三 物品貸付業(動植物その他通常物品といわないものの貸付業を含む。)
四 不動産貸付業
五 製造業(物品の加工修理業を含む。)
六 電気供給業
七 土石採取業
八 電気通信事業(放送事業を含む。)
九 運送業
十 運送取扱業
十一 船舶定係場業
十二 倉庫業(物品の寄託を受け、これを保管する業を含む。)
十三 駐車場業
十四 請負業
十五 印刷業
十六 出版業
十七 写真業
十八 席貸業
十九 旅館業
二十 料理店業
二十一 飲食店業
二十二 周旋業
二十三 代理業
二十四 仲立業
二十五 問屋業
二十六 両替業
二十七 公衆浴場業(第十項第二十号に掲げるものを除く。)
二十八 演劇興行業
二十九 遊技場業
三十 遊覧所業
三十一 前各号に掲げる事業に類する事業で政令で定めるもの

第二種事業

-省略

第三種事業

-省略

事業の定義

「事業とは、一般に営利又は対価の収得を目的として、自己の危険と計算において独立的に反復継続して行われる経済行為と解される。しかし、事業の意義については地方税法上特段これを定義する規定が設けられていないため、ある経済行為が事業に該当するかどうかの判断は、最終的には法意及び社会通念に照らして行うこととなる」とされている(「個人事業税課税事務提要」(昭和45年1月27日付45主課個人2号東京都主税局長通達。以下「事務提要」)。

地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)第三章事業税第1節第1、1の5

事業を行う個人とは、当該事業の収支の結果を自己に帰属せしめている個人をいうものであるが、その具体的判定に当たっては次の諸点に留意すること。

(1) 収支の帰属

資産又は事業から生ずる収益が法律上帰属するとみられる者が単なる名義人にすぎない場合においては、これらの名義人はこの資産又は事業から生ずる収支を自己に帰属せしめているものではないので、名義人以外の者でその資産又は事業から生ずる収益を享受する者に対して事業税を課することとなるのであるから、事業の収支の帰属を十分に検討して課税上遺憾のないようにすること。この場合において資産又は事業から生ずる収益が法律上帰属するとみられる者が単なる名義人にすぎない場合とは、およそ次に掲げるような場合をいうものであること。(法72の2
の3)
ア 事業の名義人が事業の経営に関与せず何らの収益を得ていない場合
イ 事業の取引の収支が事業の名義人以外の者の名において行われている場合
ウ 事業の名義人は他の者の指示によって事業を経営するにすぎず、その収支は実質的には他の者に帰属する場合

(2)雇傭契約の有無

他の諸法規において雇傭者としての取扱いを受けているということのみの理由で直ちに地方税法上「事業を行う者」に該当しないとはいえないのであるが、その事業に従事している形態が契約によって明確に規制されているときは、雇傭関係の有無はその契約内容における事業の収支の
結果が自己の負担に帰属するかどうかによって判断し、また契約の内容が上記のごとく明確でないときは、その土地の慣習、慣行等をも勘案のうえ当該事業の実態に即して判断すること。

保険外交員が代理業に該当するか否か

「個人事業税(生命保険外交員に対する課税)の疑義について」(昭和29年8月14日付自丁府発第62号。以下「本件行政実例」という。)において 、保険外交員の個人事業税は非課税であるとされていたが、現在は課税事業の代理店業に該当するとして保険外交員に事業税が課される事例が多発している。

代理業は,①一定の商人のために(原則として特定の者のために),②反復継続して行われ、③取引を代理し、又は媒介する、④独立した事業であると認められることが必要とされている。

④の独立した事業であるかどうか問題になると考えられ、形式的には申告書等の各種資料に基づき認定され、実体としては自らが支配、管理することのできる営業所を有し、多額の営業費を支出し、自己の活動形式と労働時間を決定して、そのなした行為について手数料及び報酬を歩合的に受け取っているものであるかどうかで判断される。

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