介護会計の概要
「介護保険の給付対象事業における会計の区分について」老振発第18号(介護会計)では、事業所又は施設単位で経理が区分されている必要があり、介護保険の給付対象事業を複数行っている場合は事業の種類ごとにも経理することが求められます。 これは各事業所に番号が割り当てられるので、番号ごとに介護事業所の状況を把握するためと考えられます。
金融業、建設業なども一般の事業者とは異なる経理を行いますが、介護事業も同様に一般の事業者と異なる経理を行います。
介護会計の概要については、次の通りとなります。
介護会計の経理処理方法
介護事業を行うためには法人形態であることが求められますが、社会福祉法人、株式会社、NPO法人など様々な法人形態があり、それぞれ会計基準は異なります。そのため、介護会計ではそれぞれの法人形態にかかる会計基準を基本としつつも、事務負担が過大にならないように介護会計が適用されることになっています。
介護会計が適用されることにより最も影響受ける個所としては、介護サービス事業別に計算書類を算定、表示する必要がある点です。 事業別に区分する方法としては、次の方法があります。
- 1. 会計単位分割方式
- 2. 本支店会計方式
- 3. 部門補助科目方式
- 4. 区分表方式
会計単位分割方式
会計単位分割方式とは、施設又は事業所の単位(事業拠点)ごとの介護サービス事業別にあたかも別の法人のようにそれぞれ独立した主要簿(仕訳帳及び総勘定元帳など)を有するものです。
総勘定元帳が事業拠点別になるので計算書類(法人形態によって損益計算書、収支計算書、正味財産増減計算書)も貸借対照表とともに事業拠点ごとに作成されます。
この方法では他の事業拠点との取引を収支及び損益にすること貸借処理(他会計貸付金又は他会計借入金)にすることになります。
本支店会計方式
本支店会計方式とは、主要簿の一部を事業拠点の単位ごとの介護サービス事業別に分離して会計処理する方法です。
貸借対照表の資本の部(純資産の部)は区分する必要はなく、本店勘定でよく、事業所間取引も本支店勘定(賃借勘定)で行います。
部門補助科目方式
部門補助科目方式とは、勘定科目に補助コードを設定し、仕訳時にこの補助コードを記入することにより、介護事業サービス事業別の数値が集計できるようにする方法です。
貸借対照表については介護サービス事業別に区分しないで、収支及び損益を計算します。
区分表方式
区分表方式は仕訳時に区分せず、科目に応じた按分基準を設けて配分表により介護サービス事業別の結果表を作成する部門補助科目方式の簡便法です。
この方法による場合、決算終了後に決算数値を基に配分計算するため日々の経理は通常通りとなります。
以上が会計の概要ですが、それより難しいのが事業サービスごとにどのように収支及び損益を按分するかです。実務的には、会社の事業の実態に応じた合理的な按分方法を検討、決定し、それを毎期継続適用する必要があります。
また、どのような按分方法を行ったのかは記録することが求められています。