金銭の信託

金銭の信託は、金銭を財産として委託者が受託者に金銭の管理、運用を委託する信託のことを言います。
金銭の信託は、運用を目的とする信託であり、信託財産の短期的な売買等で信託財産の価値を上昇させ、受益者に帰属させるものです。

金銭の信託の会計処理

金銭の信託の保有目的区分

金銭の信託は、有価証券と同様に、信託契約の単位ごとに各保有目的区分(運用目的、満期保有目的、その他)に分類して、会計処理の選択を行います。
なお、金銭の信託は、一般的に運用を目的とするものと考えられ、運用目的以外の目的とするためには、それが客観的に判断できることが必要となります(金融商品会計基準実務指針97)。

金銭の信託を運用目的以外の目的に区分するためには、運用目的(信託財産の短期的な売買等で信託財産の価値を上昇させ、受益者に帰属させること)に該当しないものであり、企業の意思決定文書で裏付けられており、かつ、信託財産構成物である有価証券の売買を頻繁に繰り返していないという事実に基づかなければないとされています。
企業の意思決定文書の記載内容は下記の項目が必要であり、「積極的な証拠」とされています。
① その他有価証券を自己で直接保有せずに金銭の信託で保有する理由
② 金銭の信託の目的
③ 有価証券の売却が、委託者が事前に指示した方針に基づくこと
④ 運用報告書を定期的に入手してモニタリングすること
なお、信託契約書においても、信託の目的を明記しておくことが必要と考えられます。

金銭の信託の会計処理

信託財産の構成物は、評価及び会計処理を行ったとした場合の評価額を付し、それらの合計額をもって信託契約に係る貸借対照表価額とするとされており、売買目的有価証券に区分される場合は、評価差額を当期の損益として会計処理されます(金融商品会計基準実務指針98)。
また、金銭の信託の計算期間にかかわらず、企業の事業年度に属する損益を当該事業年度に計上しなければなりません。

金銭の信託の表示

金融商品会計基準及び実務指針に加えて、金銭の信託の会計処理表示について、実務対応報告第23号信託の会計処理に関する実務上の取り扱いが公表されており、これによると下記の通りとなっております。

①委託者兼当初受託者が単数の場合(実務対応報告第23号信託の会計処理に関する実務上の取り扱いQ1)

委託者兼当初受託者が単数である金銭の信託の設定時に、委託者兼当初受益者は信託財産となる金銭を、「金銭の信託」等適切な勘定科目で処理して、表示します。

②委託者兼当初受託者が複数の場合(実務対応報告第23号信託の会計処理に関する実務上の取り扱いQ2)

委託者兼当初受託者が複数である金銭の信託の設定時に、委託者兼当初受益者は信託財産となる金銭を、「有価証券」又は「合同運用金銭信託」等適切な勘定科目で処理して、表示します。
また、この場合、有価証券、又は有価証券に準じて会計処理し、直接保有する会計処理は行わないこととなっています。

金銭の信託の税務処理

金銭の信託の受益者(受益者としての権利を現に有するもの)は、その信託の信託財産を構成する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、信託財産に帰せられる収益及び費用は受益者の収益及び費用とみなして、法人税法等の規定を適用します。
ただし、集団投資信託、退職年金等信託、特定公益信託等又は法人課税信託については、この限りでな。
いとされています(法人税法12条)。

なお、信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限は除く。)を現に有し、かつ、その信託の信託財産の給付を受けることとされている者は、前項に規定する受益者とみなして、同項の規定を適用されます。

大阪の税理士・会計士なら平野公認会計士・税理士事務所

大阪で税理士、公認会計士をお探しの方は、平野公認会計士・税理士事務所にご連絡ください。

記帳、決算、確定申告の基本的業務以外にも、介護経営・歯科経営コンサルティング、国際税務コンサルティング、企業支援、M&Aコンサルティング、組織再編コンサルティングにも強いのは、平野公認会計士・税理士事務所です。

平野公認会計士・税理士事務所
大阪府大阪市西成区玉出中2-13-32-501

平野公認会計士事務所
大阪市住之江区粉浜1-27-3 リー・アートビル201
TEL : 06-6569-9555
FAX : 06-6569-9445
公認会計士登録番号 第20835号
税理士会登録番号 第114767号